US配列を使え
PCでのキーボードによる入力環境は、そろそろUS配列にしてみるべきだ。
US配列は、英語キーボード、英語配列、ASCII配列などとも呼ばれるが、国内で普及している一般的なJIS配列とは違いがあるものとして、好んで使っている人も多い。
US配列とJIS配列
US配列の特徴は以前に別の所にも書いたが、JIS配列との違いではだいたい次のようなもの。
- Enterキーが横長形状
- Spaceキーなどが大きい
- 括弧などのキーが合理的な配置
- かな刻印がない
- 変換や全/半キーなどがない
- キー数が少ない
US配列(英語配列)と聞くと、英語のためのもので日本語・和文入力に支障があると思われるかもしれないが、JIS配列(日本語配列)でも英語入力ができるのと同様にUS配列(英語配列)でもローマ字入力は全く問題なく出来るので心配は要らない。
アルファベットや数字の配置はUS配列もJIS配列も同じだが、記号の配置が少し異なるので、そこだけ慣れが必要になる。
US配列を使う利点や得られる効果は、次のようなものであると思っている。
- 精悍なデザインの安定感
- 国際標準の安心感
- ホームポジションの良好な配置バランス
- パワーユーザとしての満悦感
JIS配列で使い始めたPC初心者などにとってUS配列は、次ような特徴が逆に欠点になっている。
- 変換や半/全キーなどがない
- Enterキーが1段サイズ(小さい)
- JISかな入力に不向き
- US配列用の説明がない
- 使っている人が少ない
USとJISの市場動向
US配列の国内シェアは低い。国内メーカーのPCはJIS配列キーボードしか選べない場合がほとんどで、店頭で売られている外付けキーボードも一般的な価格帯の製品はJIS配列ばかりで、US配列は高価なキーボードが中心になっている。
PC初心者や普通の人はJIS配列以外の選択肢があることさえ知らない。
JIS配列は今後も当面、国内のキーボードの主流であり続ける。US配列がそれに代わって普及するのは、国内メーカーの市場からの撤退、海外製品の台頭、かな入力使用者の些少化、キーボード配列の国際標準化などの潮流が顕著に起こらなければならないからである。
したがってUS配列も当面、好事家など一部の人向けの選択肢でしかない状態は続く。
US配列を使え
PC初心者、子供、かな入力を使う人は今後もJIS配列を選択していくべきである。初心者などは周りで使われているのがほとんどJIS配列なのでサポートを受けやすいし、Windowsやアプリケーションの説明などもキーボードの配列は全てJIS配列が基本になっているからである。
一方、次のような人は、もうJIS配列から脱却してUS配列を使うようにすべきである。
- かな入力を使わない人
- 脱初心者
- 入力環境をもっと良いものにしたい人
- 少数派でも人とは違ったものを求める人
- 自分でたいていのことは何とかできる人
JISかな入力はUS配列キーボードでも使えないわけではないが、キー数の違いでJIS配列と別の位置のキーに割り当てられているので、US配列では使いづらくなる。
US配列への変更方法
US配列を使うには、次のような手段が考えられるが、最も手っ取り早い方法は外付けのキーボードをUS配列のものに変更することである。
- キーボードをUS配列のものに取り替える
- (PC本体がJIS配列でも)US配列の外付けキーボードを使う
- US配列キーボードのPCに買い換える
デスクトップPCなどでキーボードが容易に交換できる場合は、キーボードをUS配列のものに交換すれば良いが、ノートPCでは本体キーボードは最初に選んだ配列から変えられないので、JIS配列の本体ならばUS配列の外付けキーボードを使うのが良い。
ノートPCでは買い換えの際にUS配列を選ぶ方法があるが、国内メーカー品などはほとんどJIS配列しか選択肢がない。
キーボードがJIS配列設定になっているPCでUS配列を使えるようにするには、WindowsのVersionにより方法が異なるが、キーボードのドライバを「101/102キーボード」などに変更する作業が必要になる。(OS毎の方法は検索すると容易見つかる)
US配列に変更後
キーボードをUS配列に変更したら、まず一部のキーの形状が異なること、JISキーボード特有のキーがないこと、記号の配列が異なることを踏まえる必要がある。
US配列に変更した段階で最も不安に思うのは、JISキーボードにはあるキーが無いことで、ローマ字入力が問題なく行えるのかということである。
IMEのオンオフは、JIS配列では【半/全】キーに割り当てられているが、US配列では【Alt】+【`】(左上【1】キーの左)に割り当てられている。このままでも機能的には問題ないが、頻繁に操作するのに支障がある場合は、IMEのキーカスタマイズで任意のキーへの割当を追加してやる必要がある。
自分は、他のOSでもIMEオンオフとして使われている【Ctrl】+【Space】に割り当てている。
JIS配列の【変換】キーによる変換操作は、JIS配列でもそうであったように【Space】による操作で問題ない。
【無変換】や【カタカナひらがなローマ字】に割り当てられているような機能は、JIS配列においても使用頻度は低いので、特に気にならない。そういう機能を多用している場合は、適宜割当を追加・変更すればよい。
ATOKでのUS配列用割当については別の所に書いたが、他のIMEでも同様のことを行えば良い。そういう作業さえ面倒臭いという人は、US配列を使うのに適していない。
US配列の不満点
US配列を使い始めた人がよく言う不満点に次のようなものがある。
- Enterキーが小さい
- Spaceが大きすぎる
- 記号の配列が難しい
- IMEのオンオフが面倒
Enterキーは、キートップ自体の面積はJIS配列のものより小さいが、形状も横長でEnterキーの位置がJIS配列より1列ホームに近いのでJIS配列より打鍵しやすい。
Spaceキーは大きくて何か問題があるのか全く分からない。親指の位置がどこにあっても打鍵できるし、人差し指ホームの【F】と【J】の真下に【Space】があるのが自然である。標準のJIS配列は【Space】が小さく【J】の真下が丁度【Space】と【変換】の境になっていたりして不自然に思う。
記号の配列については、そういうものだと思って覚えるしかない。括弧などの配列は合理的だと思うが、配列の法則性に異論があるのはJIS配列においても同じである。
IMEのオンオフに関しては上記でも触れたが、更に言えばホームポジションから遠い【半角/全角】よりも【Ctrl】+【Space】のほうが打鍵しやすく、コンビネーション打鍵である不利に勝る。JIS配列を使う人もこの方式に切り替えるべきとさえ思う。ただし、いずれも【Ctrl】キーが【A】の横の位置に変更してある前提である。