AOUR - 解説
AOURの説明のために作成していた「解説」「習得テキスト」「打鍵練習帳」の内容を整理して統合し、一つにした。(22/01/04)
- 和文入力をAOURで [24-03-24更新]
以下は「和文入力をAOURで」の第1章解説部分から、定義に関する部分を抜粋した。
AOURの割当定義(AOUR220712)
「〔基本〕」とした定義はAOURで一通り和文入力を行うために最低限習得が必要なものであることを示す。「〔発展〕」とした定義は、必要に応じて段階的に習得すべきものと考えるが、二重母音入力と撥音節入力は、入力の効率が格段に向上するので〔基本〕の定義に準じて必須と考えてもらいたい。
〔基本〕母音
Dvorak配列の母音位置に基づき、【A】【S】【D】【F】【G】の五つのキーに「あ、お、え、う、い」の五つの母音を順に割り当てた。母音は左手ホームポジションに配置される。
愛【AG】、魚【FS】、エイ【DG】、家【GD】
〔基本〕基本的な子音
清音、濁音、半濁音の子音も、Dvorak配列の子音キー位置に基づく。たとえばカ行子音は【I】、タ行子音は【K】となる。入力するときは訓令式ローマ字綴りの要領でこれら子音キーに続けて母音キーを押下する。たとえば「か」は【IA】、「ぬ」は【LF】である。
カ行【I】、サ行【;】、タ行【K】、ナ行【L】、ハ行【J】、マ行【M】、ヤ行【T】、ラ行【O】、ワ行【W】、ガ行【U】、ザ行【E】、ダ行【H】、バ行【N】、パ行【R】
紙【IAMG】、夢【TFMD】、温もり【LFIFMSOG】、裸【JAHAIA】
仕事【;GUSKS】、プラズマ【RFOAEFMA】、ラジオ【OAEGS】
〔基本〕撥音
撥音「ん」には単独キーで【X】を割り当てた。DvorakではQに相当する位置だが、Qは普通子音に用いず空きになること、AZIKでもQに割り当てられていて撥音キーとして想起しやすかったためである。
撥音は後述の撥音節入力のルールを使うことでほとんど用が足りるようだが、外来語の特殊音で不足する場合や文字列修正字など単独入力が必要になる場合もあると思われる。
余韻【TSGX】、私案【;GAX】、雲母【FXMS】、遠足【DX;SIF】、気温【IGSX】、インチ【GXKG】
〔基本〕促音
促音「っ」も単独キーとして【Z】を割り当てた。Dvorakでセミコロン位置に相当する。AZIKでも促音がセミコロンキーであることで想起しやすかったためである。
ATOKは仕様で他に割当がない限り同じ子音キーの重ね打鍵で促音が入力されるが、AOURでは重ね打鍵は用いず、常に促音専用キーを用いる。
切手【IGZKE】、明後日【A;AZKE】、納得【LAZKSIF】、札幌【;AZRSOS】、脱兎【HAZKS】、バックル【NAZIFOF】
〔基本〕長音符号
長音符号「ー」は、JIS配列キーボードではコロン【:】に、US配列キーボードではシングルクォーテーション【'】に割り当てた。(ATOK等の定義ファイルでは双方対応のために両方のキーに割り当てる)
これもAZIKやACTに倣い、右手小指のばし指の位置としたもので、Dvorak配列でもこの位置はマイナス記号キーである。QWERTY配列のように数字【0】の横のマイナス記号キーよりも断然入力しやすい。
※以下の用例は【:(')】と記述し、JIS配列(US配列)の意である。
カード【IA:(')HS】、チーム【KG:(')MF】、ミートボール【MG:(')KSNS:(')OF】、アタッカー【AKAZIA:(')】、アンサー【AX;A:(')】
〔基本〕捨て仮名
捨て仮名(いわゆる小書き文字)も、たいていは拗音など他の定義による入力で実現できるが、特殊音などの場合のために、単独で入力が必要になる場合に備え定義を割り当てた。通常のQWERTYローマ字では【L】などに割り当てられているものである。
捨て仮名単独は、【P】を第二子音キーのように用いることとした。子音キーに続けて【P】を打鍵し、たとえば「ょ」ならば【TPS】と入力する。
ゃ【TPA】、ゅ【TPF】、ょ【TPS】、ゎ【WPA】
母音の捨て仮名五つに関しては、ただ【P】に続けて母音キーを打鍵する。
ぁ【PA】、ぃ【PG】、ぅ【PF】、ぇ【PD】、ぉ【PS】
〔基本〕拗音入力
普通のQWERTYローマ字の定義では拗音は子音に続けて【Y】を拗音キーとして押下する。AOURでも当初はDvorakでYに相当する【T】を拗音キーとしたが、後にこのキーは二重母音入力キーの一つとして拗音入力の定義を変更した。
変更後の拗音キーは、子音と同段の右手人差し指キー【U】【J】【M】のいずれかを用いる。子音と重なるガ行、ハ行、マ行については同一キーの連打が必要となる。
たとえば「きゃ」は子音がカ行の【I】なので、同段右手人差し指の【U】を続け、母音の【A】と組み合わせて【IUA】で入力する。「みゅ」は子音が【M】、拗音化キーは同指打鍵【M】、母音は【F】で【MMF】で入力できる。
許可【IUSIA】、ギャル【UUAOF】、距離【IUSOG】、旅客【OUSIAIF】、却下【IUAZIA】、キュート【IUF:(')KS】
〔基本〕拗音入力の例外
シャ行、チャ行、ジャ行については、拗音入力原則の【;J】、【KJ】、【CM】ではなく、拗音キーを含んだ子音キーとして【B】【V】【C】を用いる。拗音キーは用いない。この専用キーの考えはAZIKを参考にした。たとえば「ちょ」は原則の【KJS】ではなく、【VS】の2打鍵で入力する。
Dvorakとの関係では、シャ行はX、チャ行はKと入れ替えたCの位置、ジャ行はJの位置になるので、一応想起しやすいと思う。
社員【BAGX】、茶器【VAIG】、蛇の目【CALSMD】、種目【BFMSIF】、チョコレート【VSISOD:(')KS】、序説【CS;DKF】
〔発展〕外来語特殊音の子音
外来語を書き表したり、特殊な音を表記したりする場合の綴り定義のうち、まずファ行及びヴァ行では清音や濁音・半濁音同様に単独の子音キーを用いることとした。これはDvorakの相当キーがそのまま使えるからである。
ファ行【Y】、ヴァ行【Q】
フィルム【YGOFMF】、ファウル【YAFOF】、ヴィレッジ【QGODZEG】
その他の特殊音は子音キーを二つ、あるいは子音キーと促音キーを用いて母音キーと組み合わせるなどして入力することとした。
・「ウィ、ウォ」などは【WP】+母音キー
・「ティ、テュ」などは【KP】+母音キー(「トゥ」「ツァ、ツォ」などもこの行に含める)
・「ディ、デュ」などは【HP】+母音キー(「ドゥ」などもこの行に含める)
これらは、当初は最初の子音キーの右隣を第二子音キーとして用いようとしたが、捨て仮名が使われるため捨て仮名キー【P】を第二子音キーとして統一することとした。「クァ」なども当初は割当を行っていたが、使用頻度と他の割当の優先の関係から後に割当を解除した。
ウォーク【WPS'IF】、ティディベア【KPGHPGNDA】、アクアパッツァ【AIFARAZKPA】、マリトッツォ【MAOGKSZKPL】
〔発展〕二重母音入力
SKY配列、AZIKやACT等の拡張入力方式では、母音が連なる音(「かい、ねい、るい」など)の入力が少ない打鍵で済むように工夫されている。AOURでもこれらに倣い、二重母音入力を割り当てた。QWERTY配列の母音配置では隣接キーに割り当てると覚えづらいものであったが、SKY配列やACTでは母音が片手の中段に並んでいるために、拡張キーも規則的に配置することが出来る。
AOURでも、各母音の上段キーを二重母音入力のキーとした。割り当てる二重母音は、「アイ、オウ、エイ、ウウ、ウイ」の五つとし、【A】【S】【D】【F】【G】母音キー上段の【Q】【W】【E】【R】【T】にこれらを割り当てた。
これにより、たとえば「かい」は【IQ】、「ねい」は【LE】、「るい」は【OT】、のようになる。
なお、これらのキー単独で「アイ」「オウ」等の入力をすることはATOKのカスタマイズ制約などにより実現できない。
公庫【IWIS】、宝物【JWMSKF】、想定【;WKE】、長所【VWBS】、通路【KROS】、更衣室【IWG;GKF】、マイク【MQIF】、チャイム【VQMF】
また、拗音を含んだ二重母音のうち「みゅう、ふゅう」などはほぼ外来語でのみ使うものであると考え、「ミュー、フュー」など長音符号付で定義することとした。
ミュージック【MMREGZIF】、パフューム【RAYRMF】、ウォーム【WPWMF】
〔発展〕撥音節入力
二重母音同様に子音の後に撥音が来る音節(「こん、ぐん、わん」など)の入力が少ない打鍵数で出来るような定義を設ける。これも各母音の下段の5つのキーとし、「アン、オン、エン、ウン、イン」にそれぞれ【Z】【X】【C】【V】【B】を割り当てた。たとえば「こん」は【IX】、「ぐん」は【UV】、「わん」は【WZ】となる。
二重母音入力と同様にこれらのキー単独で「アン、イン」等を入力することは現状では実現できない。
煉瓦【OCUA】、観音【IZLX】、独占【HSIF;C】、シャンソン【BZ;Z】、ウィンドウ【WPBHW】、フォント【YXKS】
〔発展〕拗音裏打ち
ACTでは「ョウ、ュウ」の拗音+二重母音、「ャク、ュク、ョク、ュツ」が頻出であるとして、これらの入力をしやすくするための省略入力キー定義を設けている。入力打鍵数を減少させ、本則より入力しやすい方法として、AOURでも本則の「裏打ち」として採用させていただいた。
「ョウ」は、二重母音「オウ」用のキーである【W】と左右対称位置にある【O】を、それぞれの子音キーに続けることで入力できることとした。「ュウ」は二重母音「ウウ」用のキー【R】の左右対称となる【U】とするが、【U】は上段子音の拗音キーでもあり重複するため、上段子音キーを用いるものは【U】の一つ隣の【Y】としている。上段恣意でもファ行【Y】は拗音キーが関係ないため、裏打ちは【U】である。
・「ョウ」 子音キー+【O】
・「ュウ」 子音キー+【U】又は【Y】
また、「ャク、ュク、ョク」に関しては、途中に「ア、ウ、オ」の母音を含むため、この母音キー【A】【F】【S】と左右対称の【;】【J】【L】を子音キーに続けることとした。
「ュツ」は母音「ウ」を含むが、「ュク」の「ウ」と重複してしまうため、「ュツ」の「ツ」のタ行をイメージするタ行子音キー【K】を、子音キーに続けることとした。
・「ャク」 子音キー+【;】
・「ュク」 子音キー+【J】
・「ョク」 子音キー+【L】
・「ュツ」 子音キー+【K】
これらの裏打ちによると、たとえば「きょう」は【IO】、「ひゃく」は【J;】のようになる。本則の「きょう」【IUW】、「ひゃく」【JJAIF】よりも入力しやすい。
入浴【LYTSIF】、優勝【TRBO】、省略【BOO;】、供出【IOBK】、芍薬【B;TAIF】、朝食【VOBL】
また、拗音ではないが助詞で頻度高く使う「を」も【WS】の裏打ちとして【WL】でも入力できるようにしてある。
〔発展〕促音+カ・タ行入力
促音「ッ」+カ行及びタ行、「っか、っき、っく、っけ、っこ、った、っち、っつ、って、っと」は、出現頻度がある程度高いようで、少し後になってこの10の音節に定義を割り当てた。促音+タ行拡張はgACT10で採用された入力定義(「やって良かった打ち」と呼ばれている)を参考にした。
促音キーは【Z】であるが、割り当て制約等を考え、捨て仮名・小書き文字キー【P】と組み合わせた。
っか【PZ】、っき【PB】、っく【PV】、っけ【PC】、っこ【PX】、った【PQ】、っち【PT】、っつ【PR】、って【PE】、っと【PW】
結果【IDPZ】、復帰【JFPB】、ゆっくり【TFPVOG】、法華【JSPC】、括弧【IAPX】、切手【IGPE】、経った【KAPQ】、ナッツ【LAPR】、タッチ【KAPT】、ドット【HSPW】、寿都【;FPR】、一致【GPT】
〔発展〕促音+サ・パ行入力
促音+カ・タ行入力と同様の趣旨で、更に後になってサ行とパ行についても、促音+各サ行音、促音+各パ行音、すなわち「っさ、っし、っす、っせ、っそ、っぱ、っぴ、っぷ、っぺ、っぽ」の10定義を追加した。
このルールにおいては、捨て仮名・小書き文字キー【P】の裏打ちキー相当の【Q】と組み合わせた。
っさ【Q;】、っし【QH】、っす【QJ】、っせ【QK】、っそ【QL】、っぱ【QP】、っぴ【QY】、っぷ【QU】、っぺ【QI】、っぽ【QO】
なお、この定義も当初はカ・タ行と同様に【P】との組み合わせだったが、全て右手打鍵となり打ちにくいため【Q】に変更した。
喫茶【IGQ;】、骨子【ISQH】、キッス【IGQJ】、メッセ【MDQK】、窒素【KGQL】、葉っぱ【JAQP】、突飛【KSQY】、月賦【UDQU】、フラッペ【JFOAQI】、闊歩【IAQO】
〔発展〕ァク音節入力
「さく、がく、らく」等、ア段子音の次に「ク」が来る綴り(gACT10の「極楽打ち」の一部)についても、これに倣って定義を割り当てた。1音目の子音キー+カ行子音の【I】という綴りで、読みの子音同士の組み合わせという点で当初は特定定義の一部として位置付けたが、「ァク音節入力」とでも呼ぶことにした。
この定義も少し後になって追加した。ここで割り当てた1音目のア段子音は清音・濁音・半濁音のみであり、「ャク」のように拗音の後に「ク」が来る場合については、前述の「拗音裏打ち」で先行して実装していた。
かく【II】、さく【;I】、たく【KI】、なく【LI】、はく【JI】、まく【MI】、やく【TI】、らく【OI】、わく【WI】、がく【UI】、ざく【EI】、だく【HI】、ばく【NI】、ぱく【RI】、ファク【YI】
漂白【JOJI】、薬学【YIUI】、淡泊【KZRI】、落語【OIUS】、ファクトリー【YIKSOG:(')】
〔発展〕ァツ音節入力
「さつ、がつ、らつ」等、ア段子音の次に「ツ」が来る綴りについても、定義を割り当てた。1音目の子音キー+【H】という綴りで、これも読みの子音同士の組み合わせという点で当初は特定定義の一部として位置付けていた。
かつ【IH】、さつ【;H】、たつ【KH】、なつ【LH】、はつ【JH】、まつ【MH】、やつ【TH】、らつ【OH】、がつ【UH】、ざつ【EH】、だつ【HH】、ばつ【NH】、ぱつ【RH】
札束【;HKANA】、辣腕【OHWZ】、脱衣【HHG】、一月【GKGUH】、奮発【JVRH】
〔発展〕特定定義
AZIKやACTには、割当の空き部分を利用する形で、「こと、もの、です」などの頻出の綴りを短縮入力できるように割り当てたものがあり、特殊拡張と呼んでいる。当初、このような割当は入力方式の体系や割当の字面の規則性を崩すことになるので敬遠していたが、そもそもAOURもQWERTYキーボードを土台として見たときは字面の規則性は全くない状態になっているので、あまり関係ないだろうとも思い、これもまた先例の入力方式に倣って割り当ててみることにした。
特定定義は、読みの子音同士の組み合わせや、その子音・組み合わせが正規のルールで既に使われているときは近隣キーにずらしたりした。
たとえば、「もの」【ML】、「として」【K;】などがある。
また【MK】、ひと【JK】、にち【LK】
解説の主要更新履歴
改訂 | 更新内容 |
---|---|
220630 | 裏打ちで一部【U】キー化を反映。 |
220104 | 「和文入力をAOURで」の内容に全面更新。 |
211230 | 「ァツ音節入力」を追加など。 |
200622 | 「ふぁく」の変更に伴う更新。特定定義から「ァク音節入力」を分離。 |
200608 | 促音+サ・パ行入力変更に伴う更新。 |
200608 | 入力ルールの呼び名を整理。 「二重母音拡張」→「二重母音入力」、「撥音拡張」→「撥音節入力」、「省略・互換」→「裏打ち」、「促音+○行拡張」→「促音+○行入力」、「特殊拡張」→「特定定義」のようにした。 |
習得テキストも概ね同時に更新しています。