US配列でATOK
US配列キーボードでもATOKを
US配列キーボード(英語キーボード)は、JIS配列キーボードにある[変換][無変換][半角/全角][カタカナ/ひらがな/ローマ字]キー(JISキーボード特有キー)が無い。ATOKのキー定義はJISキーボード前提で、US配列用の定義は用意されていない。JIS配列キーボード特有キーに割り当てられている機能(コマンド)については、US配列キーボードでは他のキー操作で行うようにする必要がある。
ローマ字入力もAOURでの入力も、US配列キーボードとATOKで問題なくできるので、初期値状態でも概ね問題ないが、使いやすいキーに割り当てることでずっと効率が良くなる。
キー割当の考え方
ATOKのキー定義は、ATOKプロパティの「キー・ローマ字・色」タブの「キーカスタマイズ」で行う。同じコマンドに何種類も割当ができるので、競合しない限り標準の設定はそのままにして、新たに定義を加えることにする。
US配列キーボードに無い[変換][無変換]を使うコマンドは重要なものもあるが、そうでないと思われるものは無理に新たなキー定義を考える必要はないため、使用頻度の高いものに限定する。また、これらキーを使うコマンドであっても最初から代替キーが用意されていて、それで問題ない場合もそのままにする。
さらに、US配列キーボードに限らず、初期値のキー定義で使いづらいと感じるものがあれば改善を行う。
US配列キーボード用に設定しても、キー定義はJIS配列キーボードでも共通して使えるので、両種類を使う場合やJIS配列だけ使う場合でも便利になると思っている。
JIS配列キーボード特有キーのコマンドへの対処
初期値でJIS配列キーボード特有キーに割り当てられている主要な機能は次のようなものである。(ATOKのヘルプなどから)
キー | 割当機能(初期値) |
---|---|
[半角/全角] | 日本語入力オン/オフ |
[変換] | 変換/次候補、次の候補群、漢字/半角モード切替 |
[Shift]+[変換] | 再変換(読みへの復帰)、前の候補群 |
[無変換] | 半角無変換固定入力オン/オフ |
[Shift]+[無変換] | 固定入力英字順次切替 |
[Ctrl]+[無変換] | 固定入力カナ順次切替 |
[カタひらローマ字] | かなロックオン/オフ |
これを、次のようにする。
割当機能 | 割当キー |
---|---|
日本語入力オン/オフ | [Ctrl]+[Space] |
漢字/半角モード切替 | 割り当てない。ATOKのオン/オフで代替する。 |
変換/次候補 | [Space](標準で割当済) |
次の候補群 | [Ctrl]+[D] |
前の候補群 | [Ctrl]+[S] |
再変換 | [Shift]+[Ctrl]+[Space] |
再変換(読みへの復帰) | [Shift]+[Ctrl]+[J] |
半角無変換固定入力オン/オフ | 割り当てない。 |
固定入力英字順次切替 | 割り当てない。 |
固定入力カナ順次切替 | 割り当てない。 |
かなロックオン/オフ | [Shift]+[Ctrl]+[CapsLock](標準で割当済) ※ US配列キーボードではJISかな入力は不向き。 |
以下、このように割り当てる解説。
ATOKのオン/オフ
IMEの起動キーは、US配列キーボードでは[半角/全角]に相当する操作として、自動的に[Alt]+[`]が割り当てられている。だが、このキー位置では比較的頻繁に切り替えを行う操作なので不便であるし、[`]が右上にあるHHKBのようなキーボードもある。そこで、自分は[Ctrl]+[Space]に割り当てた。
[Ctrl]+[Space]は、Ubuntu等のLinux系OSやMacなどでも日本語入力起動キーとされているようで、US配列ユーザではこれに割り当てる人が多い。
前後の候補群表示
変換操作中の候補表示で前後のページを表示する操作は、[変換]と[Shift]+[変換]に割り当てられており、これはUS配列キーボードでは実現できない。次候補操作と前候補操作で一候補ずつ繰るのは手間が多く、この機能もUS配列キーボードで実現させたい。
そこで、このコマンドは[Ctrl]+[D](次候補群)、[Ctrl]+[S](前候補群)に割り当てた。これは前候補同様にダイヤモンドカーソルの[→][←]操作に相当し、イメージしやすいと考えたためである。
再変換
確定文字の再変換を行う[Shift]+[変換]のキーもUS配列キーボードでは、[Shift]+[Ctrl]+[Space]に割り当てる。自分としてはこのコマンドは使用頻度がそう高くない。確定アンドゥと呼ばれる変換やり直しはよく使うが、確定アンドゥは[Ctrl]+[BackSpace]なので、US配列キーボードでも使いづらくないのだ。
読みへの復帰
ATOK2017から加わったもので、ATOKをオフ状態のまま入力してしまったアルファベット文字列をローマ字等の入力規則に従って入力されたものとして修正してくれる機能がある。AOURの定義でも有効である。モード切替が正しくないのを検知すると、「直前の入力を日本語にする([設定キー])」のツールチップが表示される。
この機能には、初期値で[Shift]+[変換]に割り当てられているのだが、US配列キーボードでは[Shift]+[Ctrl]+[J]に割り当てる。
半角無変換固定入力オン/オフ
文中の英単語入力の際には固定入力が便利なこともありそうで暫定的に[Shift]+[Ctrl]+[Enter]に割り当ててみたが、使用頻度が低いのでやはり割り当てないことにした。[Ctrl]+[F9]のメニューとそのアクセスキーで切り替える程度で十分である。あるいは[Shift]+[A~Z]での英語モード、必要に応じ[Shift]で復帰程度で十分であろう。
US配列キーボードの配列に関係する改善、割当追加
US配列キーボードでは記号の配列がJISと異なるために、ショートカットキーの割当で不都合がある場合がある。
割当機能 | 割当キー |
---|---|
半角無変換(後)変換 | [Ctrl]+【[】 |
半角無変換(後)変換の割当追加
半角やカタカナなどの後変換キーは、JISキーボードでは[F6]~[F10]のほか、[Ctrl]+[U]、[I]、[O]、[P]、[@]に割り当てられている。後変換はファンクションキーより[Ctrl]キーとの組み合わせの定義のほうが操作しやすい。
HHKBなどのキーボードは独立したファンクションキー[F1]~[F12]が無く、ファンクションキーに単独で割り当てられているコマンドが使いづらいため、[Ctrl]との組み合わせのほうが都合が良い。
後変換においての[Ctrl]との組み合わせは、US配列キーボードでは[@]の位置が数字キー[2]にあって、[U]、[I]、[O]、[P]と離れてしまっている。そこで、JIS配列キーボードの[@]の位置にある【[】を使い、[Ctrl]+【[】の定義を追加する。ただし、このキー定義は全文字削除コマンドに既に割り当てられていたため、この定義は削除することになる。削除しても、全文字削除は[Delete]のほうが標準なので通常は問題ない。
また、[Ctrl]+[@]も割当は残したままにおくことで、同じ定義をJIS配列キーボードを使う場合でも共通して使える。
JIS/USに無関係な改善、割当追加
JISとUSのキーボード配列に関係ないところで、標準の割当はそのままにして、使いやすいと思う割当を追加する。
割当機能 | 割当キー |
---|---|
各辞書セット変換 | [Ctrl]+[2]~[5] |
単語登録 | [Ctrl]+[7] |
前候補 | [Ctrl]+[E] |
表現モード順次切替 | [Shift]+[Ctrl]+[W] |
各辞書セット変換
[F2]~[F5]にはそれぞれ辞書セット変換が割り当てられているが、US配列キーボードに限らず、ファンクションキー操作はホームポジションから離れるので少し使いづらい。そもそもファンクションキーの無いHHKBでもまたこの割当は使いづらい。
そこで、これらの各辞書セット変換を[Ctrl]+[2]、[3]、[4]、[5]に割り当てる。
なお、この定義はMac版のATOKでは標準なのかもしれない。
単語登録
各辞書セット変換のコマンドと同様の理由で、単語登録の[Ctrl]+[F7]も、[Ctrl]+[7]にも割り当てる。
前候補
変換操作中、[Space]キーで順次、次候補をフォーカスするが、前の候補を選択したい時は前候補へ戻る操作が必要になる。ATOK標準ではこれは[↑]あるいは[Ctrl]+[↑]に割り当てられている。すなわちUS配列キーボードでもそのまま使えるが、どうせならこの操作もホームポジションからなるべく指を動かさずに行いたい。
そこで、ダイヤモンドカーソルでの[↑]操作である[Ctrl]+[E]に割り当てる。
表現モード順次切替
一般、話し言葉、関西弁、文語などの表現モード切り替えもショートカットキーでできたら便利ではないかと思ったので、[Shift]+[Ctrl]+[W]に割り当ててみた。
これら定義の適用
2019-07-27 全面修正
2021-05-19 再修正
2022-02-27 再修正