好みのキーボード2021

好みのキーボード2021

2009年くらいから何回か更新しているこの文章も、前回が2014年だったので、その後最近を踏まえ、全面的に書き直してみることにしたのだが、そんなに大きく変わってはいないかもしれない。

形状はテンキーレス

キーボードの形状は大きく分けるとフルキーボード、テンキーレス、コンパクトキーボード(60%キーボード)などとなるが、自分としてはテンキーレスのものが丁度良い。ノートPCのようなテンキーレスではなく、フルキーボードからテンキーを除いた標準的な配列のものである。

フルキーボードのようにテンキーが右側にあると、その横に置くマウスが遠くなり操作が煩雑になる。メインキー部分が左側に来るので、モニターの前に配置したときにバランスも悪い。ゲームなどでマウスを多用する人はこれを嫌ってテンキーレスを選ぶ傾向にある。自分は特にそういう作業をするわけではないが、マウスが近くモニター中央にメインキーを配置できるのはバランスが良い。

しかしテンキーが嫌いなわけではない。テンキーがあると数字入力は圧倒的に効率が良い。なので、テンキーがメインキーの左側に配置されたフルキーボードがあれば一番良いのだが、そういう製品は今のところほぼ見あたらない。

コンパクトキーボードは、後述のキーピッチが確保されていることが要件だが、独立したカーソルキーやファンクションキーが【Fn】などとのコンビネーションだと使いづらい面があって、常用するにはやや難がある。

配列はUS配列

キーボードの配列は、いわゆる英語配列、US配列、英語キーボードが良い。配列全体のバランスが良い。Enterキーが横長で目立たずホームポジションに近く、BSキーもJIS配列の倍の大きさでホームに近い。スペースキーが大きくきちんと親指の位置に来るのもIMEの変換操作が自然に出来る。記号も打鍵しやすい配置になっていて、さらにはホームポジションの中心線バランスが良く、ブラインドタッチで入力作業をするのには、JIS配列より適している。

US配列は、JIS配列キーボードと比較して特有のキーを持たないが、変換操作はスペースキーで行うし、IMEの切替もJIS配列における【半角/全角】と同じ位置にあるキーを【Alt】と組み合わせるだけなので、違和感は大きくない。それが不便なら、IMEのキーカスタマイズで別に割当をしたら良いだけである。
JISかな入力を行うにはJIS配列でなければ都合が悪いが、デファクトスタンダードとなっているローマ字入力やアルファベットを基準にした他の入力方式では、US配列で何の問題もない。

配色は黒色系

キーボードの配色は、基本的には黒色系が好みである。PCやモニター等の機材がだいたい黒色系なので、それとマッチするというところが大きい。変色が目立ちにくいというのもあるし、使っていて落ち着くのである。
一方、事務用パソコンなどで昔から使われている白色系、アイボリー系の配色は、デザイン的には他の機器と配色的にはマッチしないかもしれないが、アクセントにはなる。キーボードそれだけで見れば、いかにもキーボードという配色は悪くない。懐かしさもある。仕事をしているという気にもなる。

キートップの配色も、アイボリー系ならグレーの機能キーとのツートンになるのが何だか格好いい。黒色系だと黒一色になるので、黒色系でもグレー系のキーとのツートンという選択もあって良いのではと思っている。

刻印の有無や配色

ブラインドタッチができるということを前提にすると、アルファベットの刻印は全く無くても平気である。しかしながら、数字やその他記号については完全に覚えていないところもあり、それを考えると全くない無刻印も少々不便に思う。
黒いキートップに黒色の刻印とか、キートップ上部ではなく全面に刻印があるとか、そういう目立たないタイプが基本的には良いと思ってきたが、逆にはっきりと判別できる刻印があってもそんなにデザイン的に良くないものだとは思わない。

ローマ字入力がほとんどという今になっては、かな刻印の必要性は下がってきているのだが、かな表示がデザイン的に良くないものだとまでは思わない。
ローマ字入力用に、母音キーがひらがな、子音キーが各行先頭音のカタカナ(アカサタナ……)の刻印がされているようなキートップ刻印のものが出てきても良いのではないかと思っている。

US配列はそもそもかな刻印はない。JISかな入力には不適であるし、それを使うことを前提としていない。スッキリとしたデザインになっているとも言えるが、それで和文入力もするわけなので、それに適した刻印があっても別に良いのではないか。欲を言えば、US配列であっても日本語入力を前提としたローマ字入力用の母音・子音の刻印があるようなもの。さらに言えば、【Ctrl】→【制御】のように、昔のワープロ専用機のような、機能キーの意訳語刻印であっても悪くないと思っている。

Ctrlキーの位置

【Ctrl】キーは、その昔PC-98を使っていた流れもあるが、アルファベットの【A】の横でなけらばならない。ホームポジションから小指伸ばし位置で打鍵するのが合理的である。

同じ好みの人は極めて多いようで、あるいは他のOSではその位置が初期値であるようなものもあるのか、最初からそこが【Ctrl】になっていたりディップスイッチで切り替えることができるキーボードもある。
そうでないキーボードを使うときも、レジストリを変更して割当を最初から変えてしまう(【Caps】と入れ替える)ようにしている。
【Ctrl】キーは初期値では左下にあり、人によってはこれでも打鍵に支障はなく、それで慣れてしまえば逆に【A】の横では困るという。最初からそうなのだから、標準は変えない方が良いというのも一理あるとは思う。

要、Winキー

キーボードの要らないキーとして名高い【Windows】キーであるが、自分は結構使うので欲しいほうの派閥である。
【Windows】キーを要らないという人は、ゲームなどで誤って打鍵するとか、そもそも無い環境で使ってきたためなどという理由が多いのだと思う。
自分もこのキーが無い時代を経ているのだが、常駐させているアプリケーションの起動キーなどよく使うコマンドに割り当てたり、最初から割り当たっているコマンドの操作で使ってみると快適で、自分の中では同種の機能キーとしては【Ctrl】に次ぐ重要度と言って良い。無いと不便なのである。ゲームもほぼしないので、あっても支障はない。
ただし、右の【Windows】キーは滅多に使わないので無くても支障が無いかもしれない。

ESCキーは本体左上

かつては、【ESC】キーも手元(ホームポジション)に近い方が良いので数字の【1】の横にあったほうが良いと思っていたこともあったが、その位置はUS配列では【`】であって、IMEの起動キーにもなっているので、それで良いのではないか。【ESC】は、その直上のキーボード本体左上位置で良いと思っている。ホームポジションからは少し遠い位置にあるが、使用頻度が高くないからそんなに問題ではなく、たった一つ独立した位置の配置がキーボード全体のアクセントになっているようにも思う。

カーソルキーは逆T字形状

カーソルキーはダイヤモンド型の配置ではなく、逆T字型、凸の字型が良い。標準的なキーボードではそうなっているが、かつてのPC-98のキーボードではダイヤモンド型の配置だった。
今はそのような形状になっているキーボードはほとんどないと思われるが、コンパクトな配列では右の【Shift】キーの下辺りに無理矢理配置されているものも少なくない。標準的な配列が好みであるので、そこにカーソルキーが組み込まれているのは感心しない。

ファンクションキー

【F1】~【F12】までのファンクションキーは、4つずつ区切られて、そのまとまりの間が少し空いている標準的な配列が好みである。ノートPCのようなコンパクトなキーボードでは、これらキーの区分がなかったり、こういう機能キーが極端に小さなキーになっていたりして、打鍵しにくいのは少し困る。

F5~F8の四つがアイボリー系の配色ではグレーのキーになっているのも視認性が良くて良いと思っている。

状態表示のLED

NumLockとCapsLockの状態表示LEDはあったほうが良い。LEDの色は何色でも構わないが、あまり目立ちすぎない程度に光るのが良い。

キーピッチは19mm

キーとキーとの間隔はおそらく19mmか19.5mm辺りが標準だと思うが、これもそれより狭くないもので、その標準的なピッチのものが一番良い。一部のキーボードでは19mmは確保しながら、縦方向のピッチがそれより狭いという場合もある。これは打鍵しにくく、ピッチは縦も横も19mmでなくてはならない。

キースイッチ

打鍵感に大きく影響する機構であるキースイッチはどのようなものが良いかというと、一般的なメンブレンの物よりは打鍵音と打鍵の感覚、耐久性・堅牢製からしてメカニカルなスイッチや静電容量無接点のスイッチが良い。

メカニカルのスイッチではCherry社の軸を使ったものが有名だが、黒軸、茶軸、赤軸、青軸のうち打鍵して比較した限りにおいては、比較的軽い感じで直線的に押下できる赤軸が一番好みである。このスイッチを搭載したキーボードでは特にスムーズに気持ちよく打鍵ができる。
黒軸は、同じ感覚でも少し重く、茶軸は赤軸と同程度に軽く軽いクリック感、いわゆるタクタイル感がある。青軸は重めでクリック感に加えて接点に達した時にカチッと大きな音がするので、周りの人がいる環境では迷惑になる可能性がある。

静電容量無接点方式は、選択肢は限られるが、自分としてはこの方式のものが耐久性や信頼性の点からして最良であるとおもっている。特に静音タイプの軸のものが好みであって、派手な打鍵音は無く「真面目な」感じの打鍵ができるというところが作業の支障にもならないからである。

押下圧

キー荷重、押下圧は45gが丁度良い。触ってみた結果、30gは軽すぎる。メンブレンで一般的な55gや60gでは重すぎる。
メカニカルなキースイッチで言えば黒軸や青軸が重い荷重といえるが、これらの打鍵がしにくいというわけでもない。黒軸のリニアな押下感とその反発力は面白い。だがやはり、キーの荷重としてはもう少し軽い方が良い。

接続方式

キーボードの接続方式は、USBによる有線・無線、PS/2とBluetoothとがあるが、これは一般的なUSB接続で良い。無線か有線かと言えば有線の方である。無線方式は反応の遅延がどうなのかというところもあるが、これはゲームなどシビアにするわけではないので実用上は問題ないだろう。Bluetoothに関しては、唯一BIOSなどのWindows起動前段階では使えないという部分が気になる。ノートPCの場合は本体キーボードを使えば良いのかも知れないが。
Bluetooth接続のものが一般的になりつつある状況では、有線はUSBのポートが減るなどの理由で好まない人が増えていると思うが、ハブを使うなどによりさほど大きな問題ではないように感じる。

具体的な製品

AOURの入力方式を考案しそれに切り替える少し前、2005年頃からキーボードにも凝り始め、各種のキーボードを使っているが、最終的に今の一番の好みは東プレのRealforceである。テンキーレスのUS配列のものを使っている。上記の好みの項目をほとんど全部満たしているというか、Realforceに合わせると好みが上記のようになっているとも言える。このキーボードに合わせて好みが形成されたと言っても良い。

Realforce以外ではHHKBも使ったし、FILCOの茶軸、黒軸、赤軸も使った。今でもたまに切り替えて一時的にそれらを使う事はあるが、しばらく使ってRealforceに戻し、Realforceを使い続ける期間が最も長くなってしまうところをみると、やはり一番の好みがRealforceなのだろうと思う。
通常ノートパソコンに、外付けでRealforceを接続して使っている。